眠れぬ夜にお試しあれ☆鍼灸師が教える『不眠』に効くツボ4選!
・疲れているはずなのに眠れない…
・夜中に起きてしまう…
・布団の中に入るとむしろ頭がさえてなかなか寝付けない…
このような症状は「不眠」とよばれます。そして、このような症状が続き、日常生活に支障をきたすような場合は、『不眠症』と診断されることになります。
眠れずにベッドの中にもぐってスマホをいじっているそこのあなた。
この記事では、眠れないときにぜひ押してほしい、おすすめのツボをご紹介しています。即効性のある眠りのツボもありますよ。
眠れぬ夜にぜひお試しあれ。
- この記事の目次
東洋医学における『不眠』について
そもそも、「ツボ」とは?
ツボは、東洋医学の『気』という考え方に基づくものです。
東洋医学では、自然界にあふれるエネルギーのようなものを『気』としてとらえており、私たちの体の中には、内臓から指先頭の先まで『気』がめぐっていると考えられています。
この、『気』のめぐりの道筋は『経絡(けいらく)』と呼ばれています。
そして神経が集まってできている『経絡』のポイントのことを『経穴(けいけつ)』とよび、これが皆さん良くご存じの『ツボ』です。
東洋医学での『不眠』のとらえ方
東洋医学では物事を2つに分けてとらえる考え方があります。たとえば「右と左」「上と下」のようにです。
同様に、月と太陽は「陰と陽」でとらえます。
太陽が出ている時間、すなわち昼間は「陽」の力が働きやすく、人間の体の中ではエネルギー(気)が、活動する時間です。
一方、月が出ている時間、すなわち夜は「陰」の力が働き、エネルギー(気)の流れが緩やかになります。このようにとらえると、眠りは「陰」に属すことが分かりますね。
もっと具体的に説明すると、「陽」には緊張、身体を活動させる“交感神経”などが分類され、「陰」にはリラックス、身体を鎮静させる”副交感神経”、睡眠が分類されることになります。
不眠で悩んでいる方の体では、このような「陰と陽」の切り替えがうまくおこなわれていないことが考えられます。眠らなければならない時間に「気」が活発になってしまい、不眠という症状がでてしまっているということです。これが、東洋医学における、不眠のとらえ方です。
今すぐ眠りに落ちられる!?おすすめのツボ
自律神経をととのえて、体をリラックス状態へみちびく『副交感神経』を働かせることに効果があるとされるツボを4つご紹介します。妊娠初期の場合に避けるべき『禁忌』のあるツボもあります。注意事項をよく読んで、ツボ押しを取り入れてください。
百会(ひゃくえ)
『百会』というツボには、多種、多様、たくさん(=百)の経絡が出会う場所、という意味があり、その名前が付けられました。さまざまな経絡があつまっているので、健康効果もさまざまです。
そのため『万能のツボ』とも呼ばれています。自律神経の偏りを調整する働きがあるので、うまく『陰』と『陽』の切り替えができるようになり、不眠の改善が期待できるといわれます。
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『百会』の見つけ方
左右の耳を頭の頂点で結んだ場所にあるのが『百会』です。百会の場所とつむじは、必ずしも一致するとは限りません。押すとへこんだり、柔らかく感じる部分が百会の場所です。
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『百会』の押し方
①指のおなかの部分で痛気持ち良い程度に、10秒ほどグーっと押し込んでください。
上手に刺激するコツは、体の中心に向かって押すようなイメージで押すことです。リラックスした状態で刺激すると、より大きな効果が期待できますよ。
②これを5~6回繰り返します。
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『百会』のその他の効能
万能のツボ、“百会”には、さまざまな効果があります。不眠以外の主な効能は、頭痛、抜け毛、肌荒れ、眼精疲労、めまい、肩こり、うつ、痔の改善など、多様な効果が期待できます。
三陰交(さんいんこう)
『三陰交』というツボは、足のくるぶしあたりの内側にあるツボです。WHOで定義されている361個のツボのうちの1つです。
三陰交は、肝臓・消化器系・腎臓にめぐる3つの“陰の経絡”が交わる場所という意味から名づけられたツボで、この三陰交でまじわる3つの経絡は、それぞれ、肝臓をめぐる『肝経(かんけい)』、消化器系をめぐる『脾経(ひけい)』、腎臓をめぐる『腎経(じんけい)』と呼ばれています。
三陰交を刺激すれば、これら3つの陰の気を整えることができる、すなわち副交感神経を優位にさせる働きを助けることができるので、身体を休める効果を期待することができます。
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『三陰交』の見つけ方
三陰交は、内くるぶしの一番高い場所から上へ指4本分上がった場所にある、骨と筋肉の境目にあります。すこしくぼみがあり、押すと痛い場所です。
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『三陰交』の押し方
①ゆっくりと息を吐きながら、指で優しく10秒から20秒間、グーッと押してください。このとき、押している指を骨側にひっかけるように押しましょう。
②これを3セットほど繰り返します
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『三陰交』を押す時のポイント
冷え性の方や、身体が冷えている方は、三陰交のツボ自体も冷えてしまっているので、ツボの力をうまく発揮できません。三陰交を温めてから押したり、手を温めてから押すようにしましょう。
オススメなのは、ペットボトルにぬるま湯を入れて湯たんぽ代わりにしたり、ドライヤーで10センチから15センチ程離した場所から三陰交を温める方法です。
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『三陰交』のその他の効能
三陰交は、肝臓・消化器系・腎臓の働きを助ける効果があることはお伝えしましたが、他にも、冷え性・生理痛・生理不順・妊活・安産・逆子などの婦人科系のお悩み・むくみ・便秘解消などに効果があるといわれています。
婦人科系のお悩みに効果があるのは、子宮の血行を促進するなど、子宮に働きかける効果もあるからです。
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『三陰交』の禁忌
安産や逆子などに効果があるとお伝えしましたが、妊娠初期に三陰交を刺激すると流産の可能性が高まるので、安定期に入るまでは三陰交を刺激しないように注意してください。
失眠(しつみん)
『失眠』というのは、中国語で“不眠”を意味する言葉で、“眠りが失われたとき”に効果があるとされる、まさに不眠改善に効果のあるツボです。かかとの真ん中にあるツボが、この『失眠』です。
失眠はWHOで定められた361個のツボに属さない「奇穴」とよばれるツボで、「気」の流れ・経絡の流れに沿って存在しておらず、単独で効果が期待できる即効性のあるツボなんです。とくに、精神疾患が原因でない不眠には、大きな効果が期待できます。
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『失眠』の見つけ方
足裏のかかとの中心にあるツボです。探し方のポイントは、親指と人差し指でわっかを作って、かかとを囲んだ時の中心を狙えばそこが『失眠』です。
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『失眠』の押し方
①指の関節を使い、少し強めに20秒くらい垂直に押しましょう。不眠で悩んでいる方は痛みを感じると思います。押すのが大変な場合は叩いても大丈夫です。
または、硬めのボールの上に足をのせ、失眠の部分でボールを踏む方法でも効果があります。
②これを3回繰り返しましょう。
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『失眠』を押す時のポイント
足の裏が冷えてしまっている方は、ぬるま湯を入れたペットボトルなどであらかじめ温めておきましょう。お風呂の後に押してあげるのもおすすめです。
湧泉(ゆうせん)
『湧泉』は、足裏の土踏まずの近くにあるツボで、“生命力や精力が泉のように湧いてくる”という意味から名づけられました。湧泉を刺激すると、全身の疲労感を取り除き、東洋医学でいう『気』(エネルギー)を補充させることができるとされています。
腎臓の働きを整えることができるツボで、足うらの反射区では『腎臓』にあたる場所でもあります。腎臓は生命力をつかさどるとされ、この『湧泉』は、その始点になっているといわれています。
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『湧泉』の見つけ方
足裏の、つま先よりの中央にあるくぼみが湧泉です。土踏まずではありませんので注意してください。足の指でグーを作ると、しわができると思いますが、そのしわがまじわって、一番へこむ部分が湧泉の場所です。
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『湧泉』の押し方
①強い力で3秒間、グーッと押しましょう。
②これを10回繰り返します。
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『湧泉』を押す時のポイント
『湧泉』を押す時も、あらかじめ温めてから押すようにすると効果的です。うまく押せない場合は棒を使って押すと、押しやすくなると思います。一日中頑張った身体をリセットするつもりで、寝る前やお風呂などでやってみてください。
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『湧泉』のその他の効能
湧泉の効能には、疲労回復や、腎臓の働きを整える以外にも、血のめぐりを促進する効果もあるので、腰痛、冷え性の改善や、食欲不振の改善なども期待できます。
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『湧泉』の禁忌
この『湧泉』も、『三陰交』とおなじように子宮に働きかける効果があるので、妊娠初期の妊婦さんには禁忌になります。流産の可能性が高まりますので、湧泉を刺激しないようにしてください。
まとめ
東洋医学の観点から「不眠」についてご紹介しました。ツボを刺激すればさまざまな体の不調の改善が期待できますが、もちろん個人差はあります。
また、『禁忌』についてもご紹介しましたが、妊娠中はツボの効果が大きく出すぎてしまう場合があるので、安定期に入るまではツボを刺激しないように注意してください。
また、食事前や食後にツボを刺激するのも控えてください。胃腸に負担をかけてしまい、消化不良をおこす可能性があるためです。お風呂に入っているあいだや、寝る前の時間帯にツボを押し、継続的に安眠効果が得られるといいですね。