ぎっくり腰の応急処置と病院・整骨院へのかかり方
日常生活の思いがけないタイミングでやってしまいがちな“ぎっくり腰”。正式名称は、『急性腰痛症』とよび、ヨーロッパでは“魔女の一撃”とも呼ばれています。突然腰の痛みに襲われ動くことができなくなるほどの症状がともなう疾患です。
「ちょっと整理をしていて高いところにあるものを取ろうとした」、「子どもと遊んでいた」など、ごく普段の生活の思ってもみないタイミングでぎっくり腰になってしまう方が多くいらっしゃいます。そんな時のために、この記事では、ぎっくり腰になってしまった直後に取るべき応急処置と、そのあと病院で受けられる治療法についてご紹介していきます。
ぎっくり腰になった直後にやるべき応急処置
とにかく安静に
まず1番最初にやってほしいことは「安静にする」ということです。安静にする際の基本姿勢としては仰向けで1番楽な姿勢をとるようにしましょう。たとえば、仰向けに寝転んだ状態で、左右どちらかの同じ方向をむき、無理なく膝を曲げた状態にすると楽になります。
自力で無理やりに病院へいくのは良くない!
誰の助けも借りれない状況では無理に動いてしまうのはNGです!痛みが強ためすぐになんとかしたいという思いから無理して病院へ向かったり、動いたりするのは悪化させたり長引かせる原因にもなりますのでやめましょう。まずは1-2でご紹介した応急処置をするようにしてください。
患部をアイシングする
ぎっくり腰になってしまったら、患部を冷やすようにしましょう。患部を温めてしまうと炎症がひどくなってしまい痛みが強く出てしまいます。
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アイシングは“冷やす⇒休憩”を繰り返す
アイシングをおこなうときはビニール袋に氷をいれたものを、15分~20分ほど患部に当ててひやし、そのあと40分~45分くらい休憩を入れて、皮膚の感覚がもとに戻るまでアイシングを休ませましょう。そしてまた15分~20分ほど患部を氷で冷やす、このサイクルを繰り返してください。
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お腹を冷やしすぎないように注意を
腰部にアイシングをするときは、内臓が冷えすぎてしまわないように、ハンカチや薄手のタオルを一枚間に挟んでおこなってください。
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ぎっくり腰になってから3日間ほどはアイシングを。
炎症が活発になるのはぎっくり腰になってから約72時間(3日間)です。炎症と痛みをを鎮めるために、状態を見ながら積極的にアイシングをおこなってください。
コルセット・腹巻で腰を安定させる
アイシングとアイシングのあいだの休憩時間は、コルセットや腹巻きをして腰部の安定させてあげましょう。
お風呂は控えめに
ぎっくり腰になった直後は、温めることで痛みが増してしまったり、炎症が活発になってしまうおそれがあるので、約3日間はお風呂につかることは避けましょう。
しかし、どれだけぎっくり腰の痛みがつよくても、毎日お風呂が欠かせないという方もいらっしゃると思います。そのような場合は、シャワーを浴びるだけにして患部は温めないようにしましょう。
また、4日目以降も患部に熱感が残っていたらお風呂に入ることはおすすめできません。
歩けないほど痛い場合、痛みが続く場合は病院へ
痛みがひどすぎて、歩けない・立てない状況であれば、救急車をつかって病院でみてもらうようにしましょう。また、痛みが一週間以上続くような場合は自分で判断せず、病院で診てもらうことをおすすめします。
まずは『整形外科』へいき、痛みの原因を特定しMRIやレントゲン、超音波診断をうけて適切な処置をうけるようにしてください。
ぎっくり腰の治療について
ぎっくり腰は、「病院に行かなくてはならない」ほどの緊急性の高い疾患ではないですが、さきほどもご紹介したように、歩けないほどの痛みがある場合や痛みが一週間以上続くような場合には、日常生活にも支障をきたしてしまうことにもなってしまいかねません。
そこで、症状が長引く方や、自己判断で安静にしているのは不安だという方に向けて、整形外科や整体院へのかかり方をまとめました!
最初は整形外科(病院)で検査を受けましょう!
ぎっくり腰だと自分で思っていても、実は別の症状だった…なんてことも無きにしもあらず。病名を特定するためには、まず最初に『整形外科』を受診するようにしてください。
整形外科を受診した場合は、まず最初にMRIやレントゲンで患部の診断をおこなうことになります。
ぎっくり腰だと正式に診断されれば、シップの処方や、痛み止めの処方、注射、電気治療やレーザー治療などをうけることになります。
一方、『整骨院や接骨院』では、レントゲンで診断してもらうことができません。
痛みが長引く場合のように、ぎっくり腰以外の疾患が考えられる場合は病名を特定するためにもまずは整形外科を受診するようにしてください。
整骨院・接骨院でのぎっくり腰
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整骨院・接骨院で受けられるぎっくり腰へのアプローチについて
整骨院では、身体の筋肉や骨格を確認しながら異常のある部分を突き止めます。そして、ほぐす・伸ばすなどの『手技』や専門機器を使いながら、”身体に起きている異常”に対して根本的な改善ができるようにアプローチをおこないます。
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ぎっくり腰には保険が適用される!
『整骨院』と『接骨院』であれば、“急性外傷”に対して保険適用の施術を受けることができ、基本的には、ぎっくり腰の施術も保険が適用されます。
ただし、はじめから整骨院や接骨院を受診し、保険がきく症状ではないと判断された場合は、自己負担または一部自己負担での施術になってしまうことがあります。
確実に保険適用したいのであれば、最初に整形外科など病院で診断を受け、整骨院や接骨院を紹介してもらう手順を踏むことをおすすめします。
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カイロプラクティックなどの”整体院”は保険がつかえない
『整骨院』『接骨院』と混同しやすい、『カイロプラクティック』などの整体院。整骨院や接骨院は柔道整復師という国家資格者が施術をおこなっているため、法律できめられた症状に該当する場合は、保険適用で施術がおこなわれています。
しかし、カイロプラクティックなどの“整体院”の場合は、保険適用の施術がおこなわれていません。心配な場合は、通院する前に施術院へ問合せてみることをおすすめします。
鍼灸院での治療について
鍼灸院の中には訪問治療をおこなっている鍼灸院もあるので近くの鍼灸院を探してみてください。立つだけで痛みが出たり、痛みで歩きづらいなど日常生活に支障がある状態なら、鍼灸院へ行くことがおすすめです。
鍼灸院では保険を使える疾患が決まっていて腰痛はその中に入っていないため保険は適応されず、自費治療になります。
鍼灸治療の内容に関しては症状によってさまざまですが、症状がある部位に直接鍼を打ち治療を行うパターンと症状がある部位とは別の部位に鍼を打ち遠隔治療を行う場合があります。
ぎっくり腰を繰り返さないための注意点とセルフケア
痛みが少しずつ良くなってきているときや、痛みが落ち着いてきている場合は、無理のない程度に股関節周りのストレッチを取り入れるといいですね。また、生活習慣の中で気を付けるポイントもご紹介します。
長時間の同じ体制はNG!適度にからだを動かそう
オフィスワークで座りっぱなし、接客業で立ちっぱなしなど同じ姿勢でいると血流が悪くなったり、筋肉が固まったりするのでぎっくり腰にはよくありません。やむを得ない場合もあると思いますので、1時間おきに簡単な体操やストレッチなどを取り入れるようにしましょう。
急に立ち上がったり、重い物を持ち上げない
長時間同じ姿勢でいるところから急に立ち上がるのはやめましょう。また、ぎっくり腰になった方はすでに気をつけていらっしゃるとは思いますが、中腰姿勢で重いものを持ち上げたり、長時間同じ姿勢から急に立ち上がったり、中腰姿勢で重いものを持ち上げたりすることはやめましょう。
下から重いものを持ち上げる時は、膝をしっかり曲げてから持ち上げる、無理をして重すぎるものを持ち上げようとしないなど自分自身で気をつけるようにしましょう。
痛みが落ち着いてきた時期におすすめのストレッチ2つ
ぎっくり腰になったあと、痛みが落ち着いて来た時期に効果的なストレッチ方法をご紹介します。
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座ったままできるストレッチ
- ① 肩の力は抜いて状態で椅子に座ります。
- ② 左右どちらかにゆっくりと体を横に向けながら身体をねじっていきます。
- ③ 股関節まわりの筋肉が伸びていると感じながら30秒キープします。
- ④ ゆっくりと戻し、正面を向きます。
- ⑤ 反対側も同じようにゆっくりと身体をねじり、30秒ほどキープします。
- ⑥ これを3セット繰り返します。
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寝た状態でできるストレッチ
- ① 仰向けに寝た状態で左右どちらかの膝を立てます。
- ② もう片方の膝を両手で抱えてゆっくりと胸の方に引き寄せます。
- ③ 股関節まわりの筋肉が伸ばされている事を感じながら30秒ほどキープします。
- ④ 胸に引き寄せていた膝を戻し、一呼吸置いたら膝を立てます。
- ⑤ 1番最初に立てていた膝を両手でゆっくりと胸の方に引き寄せ、30秒ほどキープします。
- ⑥ これを3セット繰り返します。
まとめ
ぎっくり腰になってすぐは無理して病院へ行ったり、動かしたりせず楽な姿勢で安静にしてください。患部は温めないようにアイシングしておきましょう。
痛みがひどい場合は別の疾患の可能性も考えられるので、自分で判断するのではなく整形外科を受診してください。整形外科での診断書があれば、ぎっくり腰は整骨院でも保険適用で施術してもらうことができる疾患です。